印刷のウエーブをご利用いただきありがとうございます。ブログメンバー李です。
私は真面目で物静かだと周りからよく言われています。印刷業界の経験も浅く、分からない事だらけの毎日の中で、新しく学んだ知識をみなさんにお伝えしたいと思います。
今回のテーマは、オフセット印刷に関して重要となる要素の一つ、ドットゲインです。
ドットゲインとは
ドットゲインとは、オフセット印刷または他の印刷方式で、実際のデータより印刷物の色が濃く見える現象のことです。印刷工程上で印刷物の網点が太り、網点の面積率が変わることが原因だとされています。
例えば、下の図のようなマゼンタ50%のデータを作成し、オフセット印刷をした場合、50%であるはずのマゼンタの濃度が60、70%となり、より濃くみえてしまうことが挙げられます。
物理的ドットゲイン、光学的ドットゲイン
一般的にドットゲインは、物理的ドットゲインと光学的ドットゲインの2つがあります。
物理的ドットゲイン
物理的ドットゲインは、刷版刷版とは、オフセット印刷で実際の印刷に使用する版のことからブランケットブランケットとは、オフセット印刷で刷版と圧胴の間に存在し、刷版が直接紙に印刷することで起こる不具合を防ぐためのもの、ブランケットから紙にインクを転写する際にかかる圧力でインクが潰されて、印刷物の網点が刷版の網点より大きくなる現象です。
物理的ドットゲインはインクの種類によって異なり、高粘度のインクは圧力に抵抗する力が優れていて、物理的ドットゲインが小さいと言われています。
光学的ドットゲイン
光学的ドットゲインは、光の吸収と反射の働きで、印刷された網点がより大きく見える現象のことです。
下図のように、網点に当たった光の一部はインクによって吸収され、他の光は反射されます。これによって網点の周りに後光のような影ができます。
それとともに、紙の白い部分に当たった光は、紙の内部に浸透し、散乱・反射します。反射された光の影響で、網点の周りにできた陰の濃度が低くなります。このような光の働きにより結果的には、網点の周りの白いところまで色がついているように見えます。
光学的ドットゲインは紙の種類に関係が深く、紙の表面が凸凹するほどドットゲインが大きいとされています。
まとめ
ドットゲインは、ベタ濃度ベタ濃度とは、網点面積率が100%のこと、トラッピングトラッピングとは、印刷されたインクの上に後からインクが乗り、インクが重なり合うこととともに、重要なポイントとなりますので、覚えておきたいですね!
また、印刷物の結果に関してもドットゲインだけではなく、機械の状態、紙の種類、インクの種類、湿気、室温などが関係しています。このような環境が変わることによって、印刷物の品質も変わります。印刷のウエーブでは、日々のメンテナンスを重ねて、常に最高の品質を保つように努力しております。