ご無沙汰しております。上坂です。
季節は秋めいて、少し涼しくなってきましたかね?
早く食べ物がおいしい季節になってもらいたいものです。
さて、今回は、データ作成にあたっていろいろと出てくる「単位」のお話です。
皆さんは、普段どのような単位を使用されていますか?
印刷・Illustratorの単位
デザイン作業の際、Illustratorを操作していて、普段何気なく使用している単位ですが、それにはどういったものがあるのでしょう。
Illustaratorの「環境設定」をご覧いただくと、Illustratorで使用できる単位一覧がご確認頂けます。
環境設定の中の、「単位」ですね。一度見てみましょう。
この、Illustrator環境設定「単位」には、
★ 一般
★ 線
★ 書式
★ 日本語オプション
という項目があります。
さらに、選択できる項目をプルダウンで見てみると、
★ ポイント
★ パイカ
★ インチ
★ ミリメートル
★ センチメートル
★ 歯(H)
★ 級(Q)「書式」の項目選択時に、「歯」の代わりとして表示されます。
★ ピクセル
という単位が表示されます。
ミリメートルやセンチメートルなどの、日本人になじみが深い単位もあるのですが、普段は使わないような聞き慣れない単位もありますね。
ポイント
主に文字体裁で使用される測定の単位です。インチに基づいて定められた単位であり、時代や地域によって様々で、現在でも規格によって大きさが異なります。
パイカ
欧文活字の大きさのひとつで、12ptの活字に相当します。
インチ
欧米で用いられる長さの単位のひとつです。解像度の単位として「dpi」「ppi」が用いられますが、これは1インチの中にドット(ピクセル)が何個含まれているかを示したものです。(Dot Per Inch/Pixcel Per Inch)
ミリメートル/センチメートル
これはご存知の通り、馴染みある長さの単位です。10ミリメートル=1cmですね。印刷物のサイズなどは、この「ミリメートル」を基本として使用します。
歯(H)
出版において使用される長さの単位です。長さや文字と文字の間隔等は歯(H)で表すそうです。写植時代の文字送りの歯車の歯と歯の間隔に由来します。
級(Q)
組版で使用される単位で日本独自のものです。写植時代に作られ、英語の”Quarter(四分の一)”の頭文字をとり単位を”Q”としています。”級”は当て字のようです。
ピクセル
コンピュータで画像を扱うときの、最小単位(ドット)です。印刷物の制作時には、画像を扱うときのみ関わってきます。webページのデザイン時には、Illustratorの単位をピクセルに設定して使用します。
では、上記のそれぞれの単位がどういうものなのかわかりやすくするために、最もなじみのある「ミリメートル」に換算してみましょう。
ピクセルに関しては、解像度によって変化するため、厳密に1ピクセルが何ミリというサイズを出すことが難しいので、可変としていますが…
このように見ると、なじみのあるミリ・センチを基準にして見ると、「歯」と「級」は、キリのいい数値であることに気付きます。
両方とも、4歯、4級は1mmということになりますね。
文字データを段組で流し込みなどを行うとき、単位としての「歯」「級」は、都合がいいのです。
詰め組み(文字間をつめること)をしないという条件で、例えば文字サイズは16級(つまり4mm四方のサイズの文字)を、1行に30文字入れたいという場合、一行の長さは120mmあればいい計算となります。
このようにキリのいい単位で制作を行うと、文字列と画像などのサイズの換算やデザインがしやすくなります。
制作を開始する前に、あらかじめ各サイズなどを決定することができるということですね。
これが、いわゆる先割のレイアウトといわれるものです。先割のレイアウトについては、データ作成の留意点+(プラス)「InDesignデータ作成手順」でもご紹介しています。
ポイントやパイカで制作を行うことも可能ですが、これらの単位は”約”○○mmという欧米基準の単位であるため、きっちりとしたレイアウトを行うときに微妙な誤差が出て、修正を行う必要が出てくることがあります。
対して「歯」「級」は、日本独自の伝統的な単位であるため、日本語組版を行いやすいように、キリのいい長さの単位となっているようです。
制作を行うときに、このような単位に目を向けてみても、皆さんの一助となるかもしれません。
ではまた。。。