データ作成

2011.05.23  

データ作成の留意点+(プラス)「表現の難しーい色とは」

こんにちは。上坂です。

今回の留意点プラスは「表現の難しーい色とは」です。

印刷のしくみについてはご存知でしょうか。
簡単に言えば、「4色のインキを使って色を表現し、紙に印刷する」ということです。

4色の色とは、C(シアン:水色)M(マゼンタ:紅紫色(こうししょく)あかむさらき。)Y(イエロー:黄色)K(ブラック:黒色(Key toneのK))となります。[CMYKの詳細はこちらへ]
おおよその色はこれら4色のインキを混色することにより表現されるのです。

さて、今回の「表現の難しい色」とは。

A:転びやすい色と、その対処法

弊社の本家「データ作成ガイド」にも紹介していますが、「転びやすい色」とは、印刷機のコンディション、用紙、温度や湿度などで、色味が安定しない色のことです。
転びやすい色の代表的な色としては、「CMY3色で表現した焦げ茶系統の色や、グレー」などとなります。

CMYKでおおよその色味は表現できますが、上記の安定しない焦げ茶系の色や黒色は、CMYの3色を同程度の割合で配合した色のはずです。(CMY50%くらいで、見た目焦げ茶系の色。100%で見た目黒色になるはずです。)

しかし、CMYで表現した「焦げ茶」「黒」は不安定で、前回はうまく色が出たのに、もう一度印刷したら違う色にみえてしまうなど、基準の色を出すことが非常に難しいのです。(特に上記の2色は、焦げ茶色は明るくなったり暗くなったりで、黒に関しては、安定しないためにセピア色にみえるような結果になることも…。)

CMYKの「K」の役割は、じつは色味を安定させるために重要なのです。
上記の焦げ茶系、黒色に関しては、焦げ茶系にはKを少し配合し、そのうえで色を調節する。(完全に安定させることは難しいのですが…。)黒に関しては、「K」のみでグレーを表現する(グレースケールとする)と、安定します。

理論上は、CMYでほぼ全ての色味を表現できるのですが、安定しない色がある、また、黒に関しては完全な「黒」を表現するのが難しいため、補色としての役割としても、「K」がプラスされているのです。

B:印刷に再現されない色

皆さんはパソコン上で色を編集するとき、CMYKの値をそれぞれ調節して、希望の色に設定していると思います。
「この帯は淡い色がいいので、C=5,M=8,Y=4,K=3くらいにしよう」「ここは薄い青がいいから、C=5くらいでいいかな」など..。

上記のような色味は、たしかにパソコン上では淡いながらも色がついているように見えますが…。
印刷物には表現できない確率が高いです。

刷り上った印刷物を見ると、「色がついてない!」「薄すぎる…。」などの結果になってしまいます。
実は、上記のような非常にCMYK値が低い色は、印刷機での表現が非常に難しいのです。

印刷機の色は、版に網点で表現されます。(ドットの密度の高さ、低さで色を表現している。)シアン5%のような非常に薄い色味は、網点も当然まばらなものとなり、インキが乗らずに色が抜けてしまうとか、乗ってはいるが、モニタと印刷物の表現の違いもあり、肉眼では確認できないのでなにも色が乗っていないように見えるなどということになります。

これはお客様のデザインや印刷物の要望に制限を与えることになってしまうかもしれませんが、最低でも「CMYKのそれぞれを10%以上の色で設定する」ことをお勧めします。
(これはそれぞれであり、CMYKの合計値が10%ということではありません。これは、どれかの色が5%であったとしたら、混色により成り立つご希望の色が、その5%が表現できないことによりご希望通りの色とならないこともあります。)

C:特色

特色とは、金や銀色などのどうみてもCMYKで表現できない色や、CMYKのある配合の色を、CMYK以外に表現する色のことです(説明が難しい…。お分かり頂けますでしょうか(汗))。

特色は「PANTONE(あのユニクロさんで、PANTONE COLORの衣類が出てますね。あの色です。)」「DIC(大日本インキ様の特色シリーズです)」など、その色自体が商品として存在してたりもします。

それらは特殊なもので、CMYKのほかに、プラス特色用の「版」を用意して、特色1色使用なら、「5版」刷る。2版使用なら「6版」刷るものです。(CMYKの4版+使用した特色という計算です。)

残念なことに、弊社では特色を扱っておりません。
これは、特色を表現することはCMYK以外に版を使用する、インキを用意する必要があり、現在の料金ではお客様にサービスをご提供することができないためでもあります。(特色を使用すると、高くつくのです(汗))

そのため、弊社で印刷作業を進めるために、特色は「CMYK」カラーに変換されます。
特色は絶妙な色配合によって表現されている色もあるため、CMYKに変換することによって、ご要望の色味にならないこともありますが、そちらは補償外となってしまいます。

心苦しいことではありますが、特色を使わざるを得ない場合、お客様ご自身で、CMYKカラーに変換をしていただき、ご希望の色味となっているかどうかのご確認をお願い申し上げます。
(弊社ではCMYKに自動変換致しますので、ご希望の色味であるかどうかを確認させていただいておりません。よって印刷作業は進行致します。ご了承ください。)

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まとめ

…いかがでしたでしょうか。

「色」に関しては、多分に主観的なところもあり、非常に難しいところもございます。
弊社では、ご希望の色を基準内でお客様に提供できることを第一としていることでもありますので、弊社より情報を開示し、それらがお客様のご要望、疑問の解消の一助になれば幸いです。

印刷って難しいけど、奥が深いですね。
10年以上印刷業界に携わっておりますが、未だ飽きることはありません。

今更ながら、このBlogは私の経験からつらつらと書き出しているところが多分にございますので、「こりゃ違うよ!」などのご意見、ご叱咤もお待ちしております。

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